• TOP
  • 施工実績一覧
  • 祇園の京町家をリノベーションしたイタリアンレストラン、厨房の空調入れ替え

施工実績

祇園の京町家をリノベーションしたイタリアンレストラン、厨房の空調入れ替え

2026.09.25
飲食店
施工施設
飲食店
対応エリア
京都市東山区
サービス
入れ替え・更新

間口が生んだ、奥行きのある京町家

祇園にある、京町家をリノベーションしたイタリアンレストランの厨房にて、空調設備の入れ替え工事を行いました。

京都の町家には、間口が狭く奥行きが深い「うなぎの寝床」と呼ばれる特徴的な構造を持つものが多く残っており、街の風情に一役買っています。この特徴的な構造について、少しご説明します。

この敷地割りの起源は、豊臣秀吉による京都の都市改造(16世紀末)にあります。このとき、道路に面した間口の長さに応じて課税する「地口銭(じぐちせん)」という仕組みが導入されました。

ただし、その後の江戸時代になると、税は個人の間口に直接かけられるのではなく、「町(コミュニティ)全体」に総額が課される仕組みへと変わっていきました。町の中で税をどう分担するかを決める際に間口の広さが基準として使われることはあったものの、幕府が個人単位で「間口が広いから税金が高い」と直接徴収していたわけではなく、江戸時代の京都では、個人の税金対策だけが理由で家が細長くなったわけではないとされています。

実際に、国が明確な形で「間口の広さに応じて税金をかける」という制度(間口税・一軒役)を敷いたのは、明治時代初期の一時期のことでした。ここで初めて、法律として間口に応じた直接的な税金が課されることになります。

つまり「うなぎの寝床」が古くから定着した理由は、税金だけでなく、京都の町衆にとって商売の拠点となる「通り(道路)に面していること」自体に高い価値があり、限られた通り沿いに、できるだけ多くの商人や職人が店を構えられるよう、土地を短冊状に細かく分け合った結果、自然と間口が狭く奥行きの深い敷地割りが完成していったようです。

こうして奥行きの深くなった建物では、そのままでは奥まで光や風が届きにくくなります。そこで京町家では、建物の中ほどに坪庭を設けることで彩光を確保し、通り庭(玄関から奥まで貫く土間)から入った風が、日光で暖められた坪庭に向かって引き込まれることで、家全体に自然な通り風が生まれる仕組みが考え出されました。江戸時代中期には、こうした坪庭に加え、虫籠窓や出格子といった、現在私たちが目にする京町家らしい外観・間取りが完成しています。今回の店舗も、この京町家らしい構造を活かしたつくりになっています。

ビルトインタイプ特有の入れ替え

厨房は、間口の狭い建物の奥まった位置にあり、既存の空調機器は天井に埋め込まれたビルトインタイプでした。ビルトインタイプは、室内側から見える吸込み口はコンパクトですが、その奥の天井裏には室内機本体が大きく収まっています。そのため入れ替えの際は、吸込み口の周辺だけでなく、本体を出し入れできる範囲まで天井材を開口する必要があり、大工による天井の解体・復旧作業が必要です。

既存の室外機は、細長い建物の奥まった棟の屋根の上に設置されていましたが、この位置の室外機を新しい機器に入れ替えるには、長いクレーンを使用する大掛かりな作業が必要になります。

そこで今回は、屋根の室外機・配管は切り離すこととし、室外機に残る冷媒(フロンガス)は既存配管の途中にピンホール(小さな穴)を開け、黄色いホースを取り付け回収しました。冷媒の回収を終えたのち、新しい室外機を建物中ほどの中庭に新設し、配管もあわせて新設しています。京町家ならではの坪庭という空間が、今回はちょうど室外機の新しい設置場所としても活躍しました。

室内機の入れ替え後は白いパネルを被せて仕上げ、パネル周辺の天井部分に天板を貼り元に戻し、この後塗装を行い、違和感のない仕上がりとなる予定です。

古い建物特有の構造的な制約がある工事でも、現地の状況に応じた柔軟な対応で、無理のない形での入れ替えが可能です。京町家や古い建物の空調工事でお困りの際は、お気軽に小林設備までご相談ください。