お役立ちコラム
空調設備の施工品質を左右する配管のとりまわしの重要性
エアコンの設置工事において、多くの方が室内機と室外機の性能に注目しがちですが、実は配管のとりまわしも施工品質を左右する重要な要素の一つです。
配管工事の良し悪しは、エアコンの性能発揮はもちろん、見た目の美しさ、そして長期的な耐久性にまで大きく影響します。今回は、プロの施工業者が重視する配管のとりまわしについて、詳しく解説していきます。
なぜ配管のとりまわしが重要なのか?
エアコンの性能を最大限に引き出す
配管は室内機と室外機を結ぶ「血管」のような役割を果たしています。冷媒が循環する重要な経路であり、配管のルート設計が不適切だと以下のような問題が発生します:
- 冷暖房効率の低下:メーカー規定を超える配管長の使用や、不必要な曲がりを多用すると、冷媒の流れが悪くなり、エアコンの性能が十分に発揮されません
- 電気代の増加:効率が悪い配管設計により、コンプレッサーに余計な負荷がかかり、消費電力が増加します
- 故障リスクの増大:配管内の圧力変動や冷媒の偏流により、機器への負担が大きくなります
建物の美観を保つ
配管の取り回しは建物の外観に直接影響します。適切な配管ルートを選択することで:
- 建物の美観を損なわない:目立たない場所を通すことで、建物のデザインを活かした施工が可能
- 将来のメンテナンスが容易:アクセスしやすい位置に配管を設置することで、点検や修理が簡単になります
- 資産価値の維持:美しい外観を保つことで、建物の資産価値低下を防げます
施工の美観・耐久性に影響を与える配管の設計とは?
・基本的な配管設計の考え方
最短距離の原則 :配管は可能な限り最短距離で接続することが基本です。ただし、単純に直線で結ぶのではなく、以下の要素を考慮する必要があります:
- 建物の構造(梁、柱、窓などの障害物)
- 配管の保護(風雨、紫外線、外的衝撃から守る)
- メンテナンスアクセスの確保
・美観を重視した配管設計
建物との調和
- 建物の外壁色に合わせた配管カバーの選択
- 窓やドアなどの開口部との位置関係を考慮
- 建物のデザインラインに沿った配管ルート
目立たない配管ルートの選択
- 建物の角部や凹凸部分を活用
- 植栽や構造物で自然に隠れる位置
- 住宅の場合は、隣地境界からの距離も考慮

スペースの制約を考慮した最適な配管ルート選定
・住宅における配管ルート選定
戸建て住宅の場合
外壁面の活用
- 1階設置の場合:基礎に沿って配管を這わせ、立ち上がり部分で室外機へ接続
- 2階設置の場合:軒下やベランダの手すり下を活用した配管ルート

内部配管の検討
- 壁内配管:新築時や大規模リフォーム時に検討
- 天井裏配管:点検口の位置を考慮した設計が必要
- 既存の隠蔽配管を活用した機器交換
戸建て住宅の実例 一戸建て住宅での配管工事の実例については、こちらの施工実績で詳しくご覧いただけます。新設工事から入れ替え工事まで、様々なパターンの施工事例を掲載しています。
マンション・アパートの場合
ベランダ設置時の配管
- 避難経路を妨げない配管ルート
- 排水溝や換気口との干渉を避ける設計
- 隣戸との境界を考慮した配管位置
外壁面設置時の制約
- 管理組合の承認が必要な場合の配管ルート
- 美観を損なわない配管カバーの選択
- 共用部分への影響を最小限に抑える設計

マンション施工の実例 新築マンション全室への空調設置や入れ替え工事などは、施工実績ページで具体的な事例をご確認いただけます。
商業施設・オフィスビルでの配管設計
天井内配管システム
- 天井点検口の位置と配管ルートの整合
- 他の設備配管(給排水、電気配線)との干渉回避
- 将来の設備変更に対応できる余裕の確保
立て配管の設計
- エレベーターシャフトやパイプシャフトの活用
- 耐火区画の貫通部処理
- 配管の支持方法と固定間隔

商業施設での施工実例 保育施設、飲食店、オフィスなど、様々な商業施設での配管設計・施工実績はこちらでご覧いただけます。施設の特性に応じた配管ルートの工夫をご確認ください。
見た目と機能を両立する施工技術
・配管カバーの効果的な活用
材質の選択
- 樹脂製カバー:軽量で加工しやすく、色のバリエーションが豊富
- 金属製カバー:耐久性に優れ、高級感のある仕上がり
- 複合材カバー:耐候性と意匠性を両立
設置方法の工夫
- 建物の構造に合わせた固定方法
- 配管の熱膨張を吸収する取り付け方法
- メンテナンス時の取り外しやすさを考慮
・配管の保護と断熱
断熱材の適切な施工
- 配管径に適したサイズの断熱材選択
- 継手部分の確実な断熱処理
- 屋外部分の防水対策
配管保護の重要性
- 紫外線対策:屋外配管の劣化防止
- 機械的保護:外部からの衝撃や損傷を防ぐ
- 防虫対策:配管貫通部の隙間処理
・将来のメンテナンスを考慮した設計
点検・交換しやすい配管ルート
- 配管継手部分へのアクセス確保
- 配管の一部交換が可能な設計
- 専用工具が使用できる作業スペースの確保
配管の劣化状況確認
- 目視点検が可能な配管露出部分の設置
- 配管内部の状況を確認できる点検口
- 配管の交換時期を判断するための記録保持
まとめ:配管のとりまわしは施工品質に直結します
配管のとりまわしは、エアコンの性能発揮、建物の美観、そして長期的な耐久性のすべてに影響を与える重要な要素です。
優れた配管設計の特徴
- エアコンの性能を最大限に引き出す効率的なルート設計
- 建物の美観を損なわない配管カバーと配管ルートの選択
- 将来のメンテナンスを考慮した実用的な設計
施工業者選びのポイント
- 配管設計の提案力があるか
- 建物の特性を理解した施工ができるか
- 長期的な視点でのメンテナンス性を考慮しているか
空調設備・エアコン設置を検討される際は、単に価格だけでなく、配管のとりまわしについてもしっかりと相談できる業者を選ぶことが、満足度の高い施工につながります。
適切な配管設計により、エアコンの性能を最大限に活かし、美しい仕上がりと長期間の安心使用を実現しましょう。